6月末に取材で訪れた奈良は、中学校の修学旅行以来の再訪でした。
目次
奈良1泊2日のショートトリップでも大満足
当時、どう感じたか覚えていないけれど、今回訪れてみて印象的だったのは、奈良のゆったりとした空気感。
歴史的な建造物や寺社が存在することも奈良のすばらしさの一つですが、特筆すべきは古都の「優雅さ」がそのまま残っていることです。
一方で、おなじく「古都」の代表格である京都は、幾度も戦火に焼かれ、約1000年ものあいだ権力と政治の中核を担ってきたこともあり、ある種の緊張感がいまだに存在するように思うのです。
春日大社で「本殿特別公開」と「朝拝」「巡拝」へ参加
さて、早朝の奈良に降り立ち、まず訪れたのは創建1300年の世界遺産、春日大社。
春日大社は奈良だけではなく、日本の平和を祈り続けてきました。
そんな歴史のある春日大社ですが、現在2015~2016年にかけて式年造替中(20年ごと)で、神様のすまいである社殿を造り替えています。
伊勢の式年遷宮と何が違うかといいますと、伊勢が2つの殿地に交互に造設するのに対し、春日は同じ場所に新しい社殿を造り替えるという点です。
その際、神様は御仮殿という仮のすまいに移っていただいて、新しい社殿が完成したらそちらへ戻られる、という流れになっています。
期間限定「本殿特別公開」
駅前からバスに乗り、8時過ぎには本殿へ到着。
毎朝9時から始まる「朝拝」へ参加しようと決めていたのですが、8時半になると「本殿特別公開」の受付が開始。
ちょうどこの日、特別公開の最終日(6/30)でしたので、このチャンスを逃してはいけない!と列に加わりました。
拝観料は1000円。パンフレットと記念品(蒔絵シール)をいただきました。
まずは、御仮殿に鎮座されている春日の神様へご挨拶。
続いて、本殿の見学へ(撮影禁止です)。
石畳や階段を進むと小さなお社が建っていました。
その後、「磐座」を拝観。磐座は、神様の依代(ヨリシロ)ともご神体そのもの、ともいわれております。
今回、公開するかどうかで物議を醸したのだとか…。
真っ白い炎のようなお岩で、春日の神様が降臨された三笠山のイメージと重なりました。
次に本殿の奥にあたる4つのお社、最後に普段は禁足地である三笠山の遥拝殿へ。
なお、御仮殿の拝観は特別公開終了後も受け付けているとのことです。(500円)
毎朝9時から「朝拝」で大祓詞を読み上げる
さてさて、お次は目当ての「朝拝」。
特別な神事のある日をのぞいて、毎朝9時より本殿横の直会殿にて大祓詞を読み上げます。
平城遷都1300年を記念して、一般参加もできるようになったとのこと。
創建以来、春日大社の神官の方々が日本の平和と繁栄を祈願されてきたわけですが、現在とくに東北の復興と日本中の災害が鎮まるように祈っておられるようでした。
大祓詞を皆で読み上げ、宮司さんのお話を聞いたあとは、「巡拝」へ(希望者のみ、無料)。
春日大社の摂社、末社の参拝ができる「巡拝」
春日大社にまつられている摂社、末社を参拝できます。
ひとつ注意点として、先述しましたとおり春日の神様は、日本、世界の平和のために働いていらっしゃる神様なので、個人的なお願い事はしないというのが一般的です。
お願いしたからといってバチがあたるなどは一切ありませんが、たとえると「オカンに頼めばいいことを県知事にお願いするトンチンカンな状況」になってしまう認識でいただければ分かりやすいかもしれません。
春日大社には、様々な分野のエキスパート神様(摂社、末社にまつられている神様)が多々おられますので、そちらで祈りましょう、ということですね。
どの神様がどの分野に強いか、などは神社のパンフレットにも掲載してありましたので、ご参照ください。
東大寺へ。二月堂は知る人ぞ知る絶景スポット
春日大社のあとは歩いて東大寺へ。
南大門を通って大仏殿へ向かうと、奈良建築の壮大さを感じることができます。大仏さまについては私が多くを語るまでもないので割愛します。
境内一番奥の二月堂は奈良の街を一望できる絶景スポット。
地元のかたいわく、夕陽の落ちる時分が一番美しいそうです。
雨の二月堂も、裏参道も風情たっぷり。
五重塔がある興福寺へ
そのあと訪れた興福寺では、阿修羅像をはじめとした慶派仏像の拝観。
南円堂の横手から境内の外へ降りたら、猿沢池へ。
猿沢池のほとりでは人々が思い思いの時間を過ごしていました。
古い町家がならぶ奈良町でカフェ&雑貨屋めぐり
新旧混在のアーケード街「もちいどのセンター街」を下ると、奈良町へ入ります。
奈良町は旧市街の様相を呈しています。正しくは「外京」とよばれたエリア(ちなみに、興福寺、東大寺、春日大社も外京)に元興寺というお寺が広い境内を有していたのですが、その旧境内が奈良町。
現存の古い建物の多くは江戸時代の町家です。
多くは改装され、みやげ屋やカフェなどに変貌を遂げております。
酒造で奈良の地酒を試飲したり、カフェではのんびり読書も。
観光案内所や設置店舗にて「奈良町おさんぽマップ」を手にいれて、自分流の奈良町そぞろ歩きを楽しんでください!
奈良・京終でゲストハウスに泊まる
さて、奈良町からさらに南下すると京終(きょうばて)と呼ばれるエリアに入ります。
外京の終わりがこのあたりだったことから、京終という名が付いたそうです。
今回、取材で訪れた宿は、その京終にある女性専用ゲストハウス「潤 hotobil(ほとびる)」。
閑静な住宅街で、ほとんど観光客は見かけませんが、昔ながらの商店や個人経営の喫茶店などが点在し、興味深いエリアです。
実はこの界隈にゲストハウスがいくつか存在します。
他のゲストハウスについては調べておりませんが、「潤 hotobil(ほとびる)」の利用者の9割は海外からの観光客とのことです。
女性オーナー手作りの美味しい朝食と自家焙煎コーヒーは格別。まさに隠れ家、ゆったりアットホームな滞在が叶います。
タイミングが合えば、海外からの宿泊客と交流ができるかも。
私はノルウェーからの旅行者と朝食をともにし楽しい時間を過ごしました。
可愛い看板犬がお出迎えしてくれます。
ゲストハウスに泊まるのは初めてで不安もありましたが、こちらは個室利用ができることもあり、快適に過ごすことができました。
翌日は法隆寺&中宮寺へ
翌日は、バスに乗って法隆寺と中宮寺へ。
修学旅行生の団体と会ったものの、中心地ほどの混雑はなくゆったり過ごすことができました。
斑鳩周辺の飛鳥建築のなかにいると、タイムトラベルをしたような心持になります。
中宮寺のやさしげな御顔立ちの観世音菩薩さまは必見です。
女性客でにぎわう居酒屋で夕飯
昼過ぎには奈良市街地へ戻ってきて、ふたたび春日大社と東大寺周辺の取材へ。
夜は、もちいどのセンター街の居酒屋「よばれや」にて夕飯を。
ふらっと訪れたお店なのですが、入れ代わり立ち代わり地元の女性客が訪れてカウンターは満席。
古い建物ながら清潔なお店で、日本酒が豊富なのが印象的でした。
お店の看板メニューの「創作おでん」をはじめお造りなどをオーダーし、それに合わせて日本酒を選んでもらいました。
1泊2日とやや駆け足でしたが、充実した奈良滞在でした。