ゴッホとゴーギャン展@東京都美術館。心が動く、素晴らしい企画展でした。

デトロイト美術館展のあとは、ゴッホとゴーギャン展へ。

 

ゴッホとゴーギャン展に行ってきた

東京都美術館は、7月にポンピドゥセンター展を見にきて以来。

モネ展の激混みっぷりが軽くトラウマだったのですが、私の本命ポンピドゥセンター展はさほど混んでおらず、今回も会期早めに訪れることで混雑を避けられました。

もちろん、激混みの原因はモネ先生の人気ゆえもあるかと思いますが。

東京都美術館は、上野公園のスターバックスの裏手の、地下へくだってゆく美術館です。

 

 

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さて、ゴッホとゴーギャンは、ポスト印象派または後期印象派と呼ばれており、「りんごのおじさん」ならぬ「近代絵画の父」セザンヌも含まれます。

モネやルノワールなどの印象派とはまた違うのですねぇ。

ちなみに、ピカソやマティスの世代になると”モダンアート”になるそうです。

 

 

ゴッホとゴーギャン、なぜこの組み合わせ?

という疑問を持つ人も多いのではないかと思います。

ゴッホといえば、ひまわり。

ゴーギャンといえば、タヒチ。

なイメージだったりしますよね。

 

ゴッホとゴーギャンはパリで出会います。

一時ですが南仏アルルで一緒に暮らし、切磋琢磨しつつ制作をしていた時期があるのです。

お互いの作風を制作のヒントにしたりと研究にも励んでいたようです。

 

しかし、友人とはいえ気質の激しい芸術家同士であるうえに絵画への考えは真っ向から対立するものであったといいます。

相当なぶつかり合いがあったそうです。

 

「芸術家が金銭に悩まされずに仕事に集中できる場を」という思いでアルルに家を用意したゴッホでしたが、ゴーギャンとの共同生活はたった2か月で終わってしまいます。

ゴッホは精神的に追い詰められて奇行が増えるようになり、「耳切事件」が引き金となって、耐えきれなくなったゴーギャンはパリへ戻ることになるのです。

 

 

作品数約60点!大満足ボリューム

というと、なんか通販の説明アゲインですけどww

以前、どこかの企画展でゴーギャンをメインで扱っているものを観に行ったら、作品数が少なくて残念な気持ちになったことがありましたので…気になる部分でございました。

今回、まだある!おおっ、まだある!と感動しましたぞ。

初期~晩年の作品を一堂に集めているのも、作家の人生を垣間見る機会になります。

 

 

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ゴッホ。ジャポニズムへのあこがれ

日本人としてはとても不思議な、そして確実に誇らしい気持ちになるのですが、ゴッホは日本に憧れていました。

印象派の面々が浮世絵の画法を大胆に取り込んでいったことは聞いたことがあるかと思います。

 

ゴッホ自身、日本の土を踏むことは生涯ありませんでしたが、日本の浮世絵に大きく影響を受け、アルルの景色を目にしたときは「日本のように美しい」とまで言っているそう。

私が個人的に印象に残っているもので、『刈り入れをする人のいる麦畑』という作品があります。

”死神に命を刈り取られる人間の比喩”というと怖いイメージを抱くかもしれませんが、

「あらゆるものを美しい黄金色に染める太陽のある白昼」のもとで行われるこの「死」は「まったく悲しいものではない」(公式ウェブサイトより)と述べていたそうです。

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私が最近「死」について考えていたからか、死生観が一致したからなのか、小麦が美しかったからなのか、それとも全部なのか。

なぜだか、その作品の前からしばらく離れられませんでした。

そういう「作品」は、人それぞれなのだろうなと思います。

 

 

ゴーギャンの描く、「ひまわり」

先述のように、ケンカ別れのようになってしまった2人。

ゴッホが弟のテオにあてた書簡を読むと「ゴッホがこんなに思ってるのに、ゴーギャン冷たいなぁ」と感じてしまうのですが…。

 

ゴーギャンはタヒチにてまったく絵が売れなくなった晩年、ひまわりの絵を何枚か描いているんですよね…。

ゴッホの代名詞のようなひまわりを、自分の死の直前に。それもヨーロッパからわざわざ種を取り寄せて。

ゴッホを思って描いたのだろうか?

 

そんなことに思いをめぐらすと、ちょっぴり切なくなるのです。

このゴーギャンの「ひまわり」は、ゴッホが描いた「ゴーギャンの椅子」とともにお互いの「ポートレート」として、展示されています。

ゴーギャンをモデルにした小説といえば、『月と六ペンス』。

 

「物語」のある企画展

今回、この企画展がうまいなーと思った点なのですが。

ゴッホとゴーギャンの生い立ち、挫折、出会い、共同生活。アルル、タヒチでの制作。テオとの往復書簡でつづられる本音…。

などなど、ドラマ性があり人間として共感できるエピソードが盛りだくさんなんです。

 

ただ絵を展示してドヤ!という企画展も多いなか(「思い」をくみ取れなかっただけかもしれないけど…)、作家の思いや苦悩が鑑賞する人の心に沁みわたる作りをしていたように感じます。

(シロウト目に見てだよ!プロから見たらどう思うかはわかりません。でもほとんどの客はシロウトだと思うから、シロウトの「感覚」って大事なのではないだろうか?)

 

というわけで、まんまとはまってカタログ購入したよ。

普段買わないのに!心が動く、って大事だね。

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あとね、ポムポムプリンがゴッホ&ゴーギャンに扮したグッズが可愛すぎるんですww

ほしいけど使う機会がないからあきらめました。

 

最低あと1回は訪れたい、すばらしい展覧会でした!!

 

そうそう、先日Kindle日替わりセールで399円になっていた『印象派で「近代」を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ (NHK出版新書)』。

元は1000円以上するからかなりお得なお買い物でした。